雨上がり一夜のうちの豆の花   高橋 楓子

雨上がり一夜のうちの豆の花   高橋 楓子

『季のことば』

 俳句で「豆の花」と言った場合はエンドウ(豌豆)の花を指す。空豆の花を言うこともある。隠元豆が夏から秋を中心に咲いては実るのに対して、エンドウは春を限りの花であるところが印象的だ。
 ところが近ごろは品種改良や栽培技術が進んだせいで、真冬にも真夏にもスーパーやデパ地下にはサヤエンドウが並んでいる。ということは産地へ行けば年中「豆の花」が見られる理屈だが、やはり春の畑で露地栽培されているエンドウの花を見ると、ああ春もたけなわという感慨に浸る。
 ほんの畳一帖くらいの家庭菜園でもエンドウ豆はよく育つ。大型のプランターでも出来る。晩秋に蒔いて10センチくらいの大きさで冬を越し、これで無事に育つのかなと思っているうちに、春の陽気とともにぐんぐん伸び、蔓を出して支柱にからまりつく。そしてある朝、この句のように花を咲かせている。それからは連日、蝶型の赤紫の可愛らしい花が次々に咲く。白い花もあり、それはまたそれでしとやかな感じである。仲春から初夏にかけて、毎朝花を数える、お母さんと子どもたちの楽しみだ。(水)

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