さえずりの三陸の野に鎮魂碑       吉田 正義

さえずりの三陸の野に鎮魂碑       吉田 正義

『この一句』

 三陸は宮城、岩手、青森の三県にあたる地域だが、この句の「野」は、東日本大震災の被害を受け、家などが失われた地域を指すのだろう。3・11は今年で四年目、現在はもう五年目に入っているのに荒地のままで、復興から取り残されているようだ。国は、自治体は、何をしているのか、と言いたくなる。
 被災地にゆかりのある人はもちろん、旅行で立ち寄っただけの人でも、被災当時のままに置かれた状態を見ては気にならざるを得ない。私(筆者)の場合は、仙台に近い多賀城市がその地にあたる。かつて泊まったホテルの三階まで水が来たそうで、最近の様子がテレビ時に写った時は、目が離せなくなった。
 鉄道や港湾などのインフラや高台のニュータウン用地などは順調に建設・復興が進んでいるようだ。しかし津波にさらわれた海岸の住宅地跡の多くは、手つかずのまま放置されている。作者はそういう場所の鎮魂碑を見つけたのだろうか。小鳥のさえずりは鎮魂歌に聞こえていたに違いない。(恂)

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