立春の水一滴や鍾乳洞   宇野木 敦子

立春の水一滴や鍾乳洞   宇野木 敦子

『合評会から』(三四郎句会)

崇 天から地中までと句柄が大きいですね。とても綺麗で格調を持った秀逸句だと思います。
賢一 鍾乳洞に水が滴って、立春と響き合っている。
久敬 立春と鍾乳洞にどういうつながりがあるのかと、初めは思ったが、何となく関係がありそうに見えてきたので選びました。
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 作者は「春ですから、水温むの感じを出そうとしました」と述べ、句会には『立春や水一滴の鍾乳洞』という形で出したのだそうである。もちろんこれでも立春らしい雰囲気が伝わって来るが、「(句の調子が)もう一つしっくり来ない面がある」(恂之介)という評が出て、皆でわいわいやっているうちに、上掲句に落ち着いたという。なるほどこれで「水一滴の鍾乳洞」という、妙なつながり具合が解消され、すっきりした。心許した仲間内の句会ならではの“共同作業”が微笑ましい。(水)

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