淡き日を集めて咲けり寒桜       流合研士朗

淡き日を集めて咲けり寒桜       流合研士朗

『季のことば』

 歳時記で「寒桜」は「冬桜」の傍題に置かれている。そんなことから二つの桜に混同が生じているようだ。植物学上の冬桜は、群馬県鬼石町の冬桜(天然記念物)のような「白一色」と見ていいだろう。一方「冬桜(寒桜)は寒緋桜のこと」とする歳時記もあり、花は「薄いピンク」などと説明されている。
 掲句の雰囲気は、白い冬桜にも薄いピンクの寒緋桜にも当てはまると思う。また冬にも咲く四季桜、十月桜などと考えても悪くない。「淡き日を集めて」という表現が、この句の根幹をなしている。曇りがちな、辛うじて陽の光が地上に届くほどの天候なのだろう。なるほど、冬に咲く桜にぴったりである。
 季語には「本意」というものがある。和歌や連歌などから来た考え方で、例えば東風なら梅の花を開かせるような柔らかな風、ということになろう。現在では強東風、荒東風が目立つが、季語の持つ雰囲気に相応しい句に出会うと「やっぱりいいなぁ」と思ってしまうのだ。この句もその一例と言えるだろう。(恂)

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