気のせいと医師笑ふ午後冬ぬくむ   河村 有弘

気のせいと医師笑ふ午後冬ぬくむ   河村 有弘

『合評会から』(三四郎句会)

久敬 医者に「病気じゃないですよ」と言われ、その日の暖かさに気づく。冬温しによく合っていますね。
賢一 私の実体験に重なります。医者に「何でもないよ」と言われると、本当に安心する。その安心感が冬温しですね。
恂之介 気になっていることが杞憂だった。この冬温しは、いいですね。
進 ほっとした感じがよく分かります。
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 七〇歳の声を聞く頃になると、若い内には思ってもみなかったことを思うようになる。それは土曜日曜、盆暮れの「本日休診」のことである。金曜の夜とか、暮れの30日の晩方とかに、しばしばどこかが具合悪くなる。もう診てもらえる医師はいない、と思った途端に心細くなり、苦しみがつのる。必死の思いで頑張って、休み明けの医院を真っ先に訪れる。「大丈夫ですよ」と言われて長大息。いつまでも生きているのは場所塞ぎかも知れないが、やはり一日でも長く丈夫で長生きしたい。これが業というものなのだろうか。(水)

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