枯野行くきのふと違ふ風の道    玉田春陽子

枯野行くきのふと違ふ風の道    玉田春陽子

『合評会から』(番町喜楽会)

双歩 きれいな句ですね。風の道があるのか知らないが、あるように思わせます。
正裕 おや、昨日と風の方向が違っている、ということでしょう。今日の方が昨日より穏やかだ、という雰囲気があって、作者の繊細な感覚を窺うことができる。
水牛 上手な句だ。風が微妙に違うんでしょう。広い野原では大体、風の道は決まっているが、その微妙さをこの句は押さえている。感心しました。
而雲 天気予報ではよく、昨日は北風だったが、今日は南風です、なんて言っている。作者は通勤とか買い物で、毎日同じ道を通っているので、風の道の違いを感じたのでしょう。
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 初夏の頃、青田や葦原などの上を風が渡っていくのを見ることができる。枯野でも同じことがあるかも知れないが、この句の場合は風の方向を感じたのだと思う。正裕氏の言うように、言葉にはなくても「今日の方が穏やか」という雰囲気が漂ってくる。柔らかな詠みぶりに理由があるのではないだろうか。(恂)

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