枯蓮の蠅ゆつくりと身繕ひ     金田 青水

枯蓮の蠅ゆつくりと身繕ひ     金田 青水

『合評会から』(日経俳句会)

てる夫 天気の良い日、日当たりのいい蓮田に蠅がきていた。枯蓮にとまった蠅が、のんびりとした一瞬を得たのですね。蠅への目配りがいいと思います。
大虫 陽の当たっている枯蓮で、蠅が手を擦る足を擦る、という風景が浮かんできました。骨になったような蓮に対して、蠅の元気さが出ていて面白い。
臣弘 衰えた蓮の葉とは対照的に「冬の蠅」には生命力が残っている。静と動の対比も感じられます。
弥生 枯蓮のイメージは寂しい。そこに蠅が身繕いしている。ほっとするところに目が届いています。
水牛 こういうこともあるんでしょうな。
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 「枯蓮」は句会の兼題だった。普通なら枯蓮が主役、蠅は脇役になるべきだが、この句では立場が逆転しているように思えた。しかしさらに句を眺めていると、枯蓮からそこはかとない温みが漂ってくる。小春の一日、冬の蠅がひと時の安らぎを得ているのだ。日だまりの主役はやはり枯蓮なのだろう。(恂)

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