隧道の滴るあたり国境       嵐田 啓明

隧道の滴るあたり国境       嵐田 啓明

『合評会から』(日経句会)

正裕 隧道(ずいどう)の中に水が滴っていて、この辺が国境だろうと思う。俳句らしいいい句だ。
冷峰 だいたい隧道は国境にある。隧道には滴りが多い。コンクリで固めたていると水は滴らないが、このトンネルは掘ったままなのだろう。あるがままを詠んだ、いい句だ。
博明 隧道の暗い中に滴りがある。そして、確かにこの辺りが国境だ、と思う。このように詠まれると、「そうだ」と思うが、自分ではなかなか作れない。
万歩 ドライブをしていると峠道でよくトンネルをくぐります。壁面が滴りで濡れ、トンネルを抜けると別の県だったりする。
正市 隧道はおおよそ峠にあり、そこが県境に当たる。「滴るあたり」が効いている。
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 「滴り」は夏の季語。清水、泉、噴井と同系統と言えよう。隧道内の滴りを詠んだ例はありそうだが、「このあたりが国境(県境)」と見たのが卓抜である。誰もが頷く句ではないだろうか。(恂)

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