山門の仁王大暑を吐き続け     直井 正

山門の仁王大暑を吐き続け     直井 正

『この一句』

 仁王は別名・金剛力士。一対が寺院の山門の左右に立ち、参拝の人々を睨みつけている。一方が口を開いた「阿形(あぎょう」、他方が口を閉じた「吽形(うんぎょう)」である。寺院内に悪者が入るのを防ぐ役割を持つから筋骨隆々、強そうな、恐ろしそうな表情をしていなければならない。
 寺によって木立に囲まれて涼しげな山門もあるが、この寺の場合は日にさらされているのだろう。「大暑を吐き続け」ているのはもちろん「阿形」である。しかし「吽形」も怒りをこらえている表情をしているのだから、いつ怒り出すか分からない。作者は二種の表情がかもす暑さを感じているのだろう。
 二十四節季の「大暑」からから一か月がたったが、暑さは収まるどころか却って厳しさを増しているかのようだ。その一方で豪雨による大災害が発生し、一体全体どうなっているのだ、と言いたくなる。「日本は冬夏二季の国に変わった」という見方さえある。仁王はまだまだ怒りを吐き続けるのかもしれない。(恂)

この記事へのコメント