山の神と言ふバス停あり大暑   徳永 正裕

山の神と言ふバス停あり大暑   徳永 正裕

『季のことば』

 大暑は二十四節気の一つ、太陽が黃経一二〇度の時で太陽暦では七月二十二、三日にあたる。暑さが最も厳しいとされる夏の土用の最中でもある。こういう時にいつ来るか分からないバスを待つというのは考えただけでもうんざりする。
 この句は「山の神」というバス停の名前を見つけたことと、げんなりするような「大暑」という季語を組み合わせたことが成功の要因であろう。
 ところでこの「山の神」バス停は一体どこにあるのか。グーグルで調べたところ、千葉県佐倉市の京成臼井駅近くにあるという。なんだ、作者の住まいの近くである。そばにゴルフ練習場があるようで、多分、そこへでも出かけての行き帰りにこの面白い名前を見つけ、いつかはこれを詠んでやろうと思っていたに違いない。そこへ「大暑」という兼題。待ってましたと一句出来上がり。
 この奇妙な句またがりの、韻律不揃いなところが「うんざり感」を助長し、俳諧味を出している。この暑さ、これで家へ帰ると我が家にも居付いている山の神からまたあれこれ言われるかも、なんて考えているのかどうか。そこまでは知らない。(水)

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