短夜の諸行無常を平家琵琶    宇佐美 論

短夜の諸行無常を平家琵琶    宇佐美 論

『この一句』

 「短夜」は作者にとって初めて出会う季語(兼題)であった。夏になれば夜が短くなることは知っていても、それを句に仕上げるのに苦労したようだ。上記の句のほかに「青春に戻れぬ我が身明け早し」を作ったように、短夜のイメージを自分の人生に求め、抽象的な詠み方になりがちだった。
 そうしているうちに「諸行無常」という言葉が浮かび、「短夜の諸行無常の夢の中」と作った。短夜も諸行無常もまだ我が身に引き付けている。そのあたりで彼は私にアドバイスを求めてきた。自分のことを詠むのは悪くないが、客観的、具体的にものごとを考えることも必要、とメールで返信した。
 そして上記の句が出来上がった。句会でさほど評判にはならなかったが、私は重厚な、立派な句だと評価している。このような場合、初心者ほど人に教わったことを気にするようである。しかし先輩からの助言はなかったと思うくらいでいいだろう。助言をやがて不要にするための助言なのだから。(恂)

この記事へのコメント