父の日やイトウを釣りし話など      広上 正市

父の日やイトウを釣りし話など      広上 正市

『この一句』

 「~話など」の下五は、作句上の一つの類型と言えるかも知れない。しかし「父の日のイトウ」は句材としてたぶん前例がなく、釣りを知る人なら「オッ」と目を輝かすほどのパワーを持っている。開高健の著作や漫画「釣りキチ三平」でお馴染の淡水産・サケ科の魚。調べたら何と、最長二辰世箸いΑ
 日本の生息域は北海道だけ。作者は北海道・旭川の“奥”の生まれだから、実際に父親とイトウを釣ったことがあるのだろう。あらゆる釣りキチの垂涎の「幻の怪魚」であり、今や絶滅危惧種の代表格でもある。この大物釣りの体験は、父子にとって今なお記憶に鮮やかであるはずだ。
 ふと、「釣りし話など」の「など」って何か、と考えた。今、食用のイトウは養殖物に限られるらしい。しかし父子の記憶の中には「釣った」ことだけでなく、「食べたこと」もあったのではないだろうか。私は「イトウって、どんな味だった?」と、作者に聞いてみたい気がしている。(恂)

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