夏めくや塩気のつよき握り飯   大下 綾子

夏めくや塩気のつよき握り飯   大下 綾子

『合評会から』(日経俳句会)

二堂 私も毎週握り飯を作ってもらっています。なるほどいいところに目を付けた。奥さんの愛情を感じているんですね。
啓明 おいしそうだなと思って。夏は塩気をきつめにした方がいいんでしょうね、茄子漬けとも合います。(注:「茄子」がこの日のもう一つの兼題だった)
実千代 夏めいてくると身体が要求してくる塩気です。上手に詠まれていると思いました。
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 「夏めく」という感じをとても気持良く詠んでいる。ハイキングに出かける朝のお母さんの一仕事。いつもより塩気を少々強めにするのも主婦の知恵である。夏だから塩気を強めるというと、なんだか理に落ちた感じがしないでもない。しかしこの句は握っているお母さんのはずんだ気分、あるいは新緑の野山でそれにかぶりつく子どもや亭主の笑顔が浮かんで来る。そこが理屈の句から抜け出せた所以であろう。(水)

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