迷いなく水玉シャツで初夏の朝     大平 睦子

迷いなく水玉シャツで初夏の朝     大平 睦子

『季のことば』

 「暦の上では…」に続いて、「もう春ですが」「もう秋ですが」という風によく用いられるが、「もう夏ですが」は、あんまり聞かない。冬から春へ、夏から秋へ、には、心地よい季節の到来を待つ気持ちがり、一方、春から初夏への移行は、いい季節からいい季節へ、であるらかも知れない。
 今年の立夏は五月五日であった。子供の日で、連休中ということもあり、「今日から夏」を意識しないまま過ぎて行った。青空に鯉幟が泳ぐようになると、気象予報で言われなくても、自然に初夏を感じている。夏向きの衣装への着替えも温度や天候を勘案し、自分の判断によっているのだろう。
 句の主人公は、ある朝、迷うことなく「今日は水玉のシャツで」と決めた。彼女にとって、この日が初夏の始まりなのだろう。シャツは白地に水色の水玉模様だったと思われる。古くから人気のある乳酸飲料の包装紙が、同じ水玉模様であった。あの飲料の宣伝文句は「初恋の味」であったが・・・。(恂)

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