限界村まぼろしのごと紫雲英咲く   鈴木 好夫

限界村まぼろしのごと紫雲英咲く   鈴木 好夫

『合評会から』(日経俳句会)

大虫 限界集落というのは、人口減で寂れてしまって、住めるかどうか分からない限界の集落を言うが、そこに明るいれんげが咲いている。「まぼろし」という言葉が印象的です。
悌志郎 年寄りばかりの村なんですね。
操 かつて大勢の人々の営みがあった村落、「まぼろしのごと…」のフレーズに哀しさを感じます。
頼子 もうほとんど人がいなくなって、れんげ草を敷き込んでの農作業もできなくなっているんでしょう。
          *     *     *
 高齢者ばかりで自動車の運転もままならなくなっている。村と鉄道駅のある町を結んでいたバスも乗客減で廃線になってしまった。耕されなくなった田畑に、野生化した紫雲英が叢立ち咲き誇っている。桃源郷と言えば聞こえはいいが、実体は姥捨山の様相を帯びる。そんな村の一角に紅紫の炎が立ち上がり、そこだけが奇妙に明るい。白昼夢のようだ。(水)

この記事へのコメント