夕べの灯揺るる運河や残り鴨   今泉 恂之介

夕べの灯揺るる運河や残り鴨   今泉 恂之介

『合評会から』(日経俳句会)

悌志郎 隅田川、佃島に舟溜まりがある。運河に町場の灯が映っている夕方の寂しい情景をうまく詠んでいる。
庄一郎 江東区の運河か。無駄がなく非常にうまい。目に浮かぶ。
てる夫 景色がよく見える句。
操 運河に映る灯りに、帰りそびれた鴨の姿…情景が浮かぶ余韻のある句です。
十三妹 一幅の絵を見るような、詩情豊かな佳句。
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 再開発が急速に進む隅田川河口あたりの情景を詠んだものに違いないと、句会に集うたみんなが思ったのだが、「市ヶ谷のお堀で見た景色」と作者はにんまり。釣り堀があるあのお堀も「運河」には違いない。確かに残り鴨も見える。
 どうということはないのだが感じのいい句である。「残り鴨」(春の鴨)はなんとなく落ち着かない感じで、さりとてそれほど焦るそぶりも見せずに遊弋する。晩春のとりとめない気分をにくらしいほど上手に詠んでいる。(水)

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