ふらここや横漕ぎを知る拗ねはじめ     広上 正市

ふらここや横漕ぎを知る拗ねはじめ     広上 正市    

『季のことば』

 「ふらここ(ぶらんこ)」は風船、風車、しゃぼん玉と並ぶ春の季語である。俳句になじみの薄い人は「これが季語?」といぶかるかも知れないが、子供たちが元気よく遊ぶ様子を思い浮かべてみたい。それぞれに春の季を表す語として味わいがあり、季語としての存在感は十分、と言えるだろう。
 ただし「ぶらんこ」には使用上の問題点がある。鞦韆(しゅうせん)、ふらここ、ふらんど、ゆさはり、半仙戯などの名もあり、最もポピュラーなはずの「ぶらんこ」は、他の語に明らかに圧倒されているのだ。句会ではそれが話題になった。俳句の伝統と現実のどちらを選ぶか、ということである。
 この句は、反抗期の幼児の意地と行動を実に巧み詠んでいる。ぶらんこは当然、正面と後方への「縦漕ぎ」でなければならないが、危険な「横漕ぎ」をやる子供がいる。親が注意すると、拗(す)ねて横漕ぎを止めない・・・。とても現代的、現実的な情景だ。だから私は「ぶらんこ」がいい、と思っている。(恂)

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