水切りの石追ひかけて風光る   今泉 恂之介

水切りの石追ひかけて風光る   今泉 恂之介

『合評会から』(日経俳句会)

二堂 「石追ひかけて」が、目に見えるようでいいなと思いました。
昌魚 絵に描いたようで、目に浮かんできます。
大虫 春になると石でも投げたくなる。視線が石を追っていくと、光って見える。
てる夫 水切り石の飛んでいく線に沿って波立ち光るわけで、理屈通りだが面白い光景を捉えている。
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 「風光る」という季語は初春から晩春までを通してのものだが、一般的には「うらうらと晴れた春の日に、軟風が吹きわたることを言う」(山本健吉)とあるように、仲春以降のうららかな気分を伝えるものとされてきた。しかし、この句の「風光る」は春風とは言ってもまだ肌身を緊張させる、ぴりっとした感じの残る風のような気がする。同じ風光るでも、春風駘蕩ではなく、江戸切子を透かしたような透明感のある光り方である。「風光る」に新しい作例を加えてくれたように思う。(水)

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