八十男パソコン買換へニューイヤー     大石 柏人

八十男パソコン買換へニューイヤー     大石 柏人

『この一句』

 「俳句限界説」というものが長らく語られてきた。俳句は十七音だから、五十音+濁音、半濁音などを組み合わせて行けば、限界の数字に到達するという主張で、正岡子規もそんな問題を提示している。一方、高等な計算を根拠に、日本人が一人あたり百万句作らないと俳句の限界が来ない、という説もある。
 これらに対し私は、非数学的な「俳句無限界説」を支持している。なぜなら子規の頃は言うに及ばず、つい最近まであり得なかったような事柄が、次々に誕生しているからだ。例えばコンピューターのことを詠んでいけば、以前にはなかったような作品が難なく生まれていくはずである。
 八十歳の男性がパソコンを買い換えた、というこの句もまた、俳句に限界がないことを証明するものだろう。俳句限界説が出るのは、同じような題材ばかり詠み、類句的作品を大量生産していることにも原因がある。新しい題材を句作りに取り入れ、俳句の限界をどんどん後方に追いやろうではないか。(恂)

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