七五三記念写真を逃げ回り            加藤 明男

七五三記念写真を逃げ回り            加藤 明男

『この一句』

 よくある風景である。状況を詠んだだけの句だから、と初めは軽く見ていたのだが、二回目の時に気が変わった。ウチの子も確かにそうだった。あの頃から小さな“事件”が次々に起こるようになった。驚き、困り、腹の立ったことなど、この句はさまざまなことを思い出させてくれたのだ。
 反抗期は二歳頃から始まるらしい。親の言うことを聞いていた子が急に、ご飯食べたくない、いっしょに行かない、もっと遊んでいたい、などと言い出す。好きだったテレビの幼児番組を見なくなり、名を呼んでも横を向いて返事もしない。いま思い出せば、懐かしいいことばかりなのだが。
 七五三の記念写真。両親や祖父母が後ろに揃っているのに、ひとり主役が言うことを聞かない。しかしそれも、大人になっていくための一つの段階なのだろう。三歳児、五歳児、七歳児。子供は階段を上るように自我に目覚めて行く。写真嫌いも成長の証だ、と気づかされるのも七五三である。(恂)

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