栗ごはん栗ひとつ足し仏前へ   山口斗詩子

栗ごはん栗ひとつ足し仏前へ   山口斗詩子

『合評会から』(番町喜楽会)

佳子 仏様へのお供えの栗御飯に栗を一つ足したという、ご先祖様に親しむ気持が自然に現れているいい句ですね。
水馬 「栗ごはん栗ひとつ足し」という、このリズムがとってもいいなあと思いました。
白山 盛ってみたら、栗が隠れちゃっていたのかも知れませんね。それで一つ足した。それをそのまま言っているんだけど、またそこが面白い。
六甫 子供がお供えしているところかな。おじいちゃん、おばあちゃんにお供えしなさい、と言われて手伝ってる。とにかく、素直で可愛くて優しい。
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 作者に聞くと、これは昨年三月に亡くなったご主人詩朗(志朗)さんの仏前に供えた栗御飯だという。詩朗さんは亭主関白を気取っていたが、俊子夫人に甘えっぱなしで、大好物の栗御飯となると「もっと栗入れて」とせがんだという。そんな裏話など知らなくても、とても大らかな優しい感じの佳句で、十月句会の最高点となった。(水)

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