敬老日きょうも元気だいろはにほ        大石 柏人

敬老日きょうも元気だいろはにほ        大石 柏人

『この一句』

 この句は初め、理解できなかった。句会の選句表で眺めた時も、深く考えることなく見過ごしてしまった。しかし作者が分かって、ああ、そうか、と思った。この方は私の会社の先輩で、千葉県のある大きな団地に住み、引退後はゴルフや俳句を楽しむ傍ら、自らラジオ体操の会を立ち上げていた。
 会員の出席カードは自分で作り、ハンコの文字は「今日も元気」にした。毎朝、真っ先にラジオ体操の会場に顔を出し、来る人、来る人のカードに「元気印」を捺している。雨が降っても雪の日でも、必ず出かけて行くという。会員は大勢なので、「どんな日でも、誰かがやってくる」そうである。
 問題は「いろはにほ」であった。句会後、家に帰ってから思い当たった。「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」(久保田万太郎)を踏まえているに違いない。作者も含め人々は故郷を出てちりぢりとなり、この団地に集まってきた。幾星霜を経ての敬老日。「皆さん、元気ですよ」というのが、句の真意だと思う。(恂)

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