冷房の中で筋トレ夏深し   山口 斗詩子

冷房の中で筋トレ夏深し   山口 斗詩子

『季のことば』

 「夏深し」は厳密に言えば立秋の前日までの晩夏の季語。今年で言えば七月末から八月六日までだが、今年は立秋を越えてからが本格的な夏、と言うより酷暑がやって来た。
 まあ昔から「残暑」というものの酷さを詠んだ句が沢山あり、暑熱の苦しさは盛夏よりむしろ残暑にあると言った方が良さそうだが、それにしても今年のはひどい。もう八月も中旬。そろそろ涼しい風が吹いても良さそうなのに、とんでもない。日本各地で40℃を超えている。
 こんな最中に「筋トレ」に精出している人たちがいる。ビルの中のジムで、ガラス戸越しに外から見える。エアコンが効いていて快適温度なのだろう。みんな実に楽しそうだ。均整の取れた美しいスタイルを見て見てとばかりにくねらせる若い男女。「ああいうのに限って脳味噌が軽いのだ」。徘徊老人は禿頭に噴き出した汗を拭いながら悪たれをつぶやき、去る。(水)

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