独鈷山の風を一手に夏座敷   星川 佳子

独鈷山の風を一手に夏座敷   星川 佳子

『合評会から』(酔吟会)

涸魚 夏座敷と風というのは、誰もが常に詠みたいと思っている取り合わせなんだが、どうしてもありきたりになってしまう。それをね、この句は独鈷山という具体的な山の名前を据えたことによって印象深くしています。
正裕 今やエアコンで真夏でも締め切っていますが、もともと夏座敷は戸も障子も開け放って風を入れる。独鈷山の風を一手に入れるというのがいいですね。
正風 「風を一手に」と言ったところが夏座敷らしい感じを出しました。
反平 私もこの「風を一手に」という中七の素晴らしさに惹かれました。
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 俳句仲間てる夫さんが上田市塩田平の独鈷山に向かい合う場所に終の棲家を定めた。そこを訪ねた作者は気持の良い初夏の住まいをこう褒めそやした。「俳句は挨拶」とよく言われる。芭蕉も「奥の細道」行脚の途次、黒羽(栃木)では「山も庭もうごきいるるや夏ざしき」と詠み、大石田(山形)では「五月雨をあつめて涼し最上川」(後に「早し」に変更)と、迎えてくれた家の心地良さを詠んでいる。(水)

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