北国の天と地つなぐ麦の秋         藤野十三妹

北国の天と地つなぐ麦の秋         藤野十三妹

『この一句』

 自然の広さ、大きさが十分に感じられよう。手前は普通の畑か牧草地なのだろう。その奥に黄金色の麦畑が長く横たわっている、という景が見えてくる。「天と地つなぐ」がちょっと気になった。「天地の間に」くらいでどうか、とも考えたが、いずれにせよ句のスケールの前には小さなことである。
 前回の句「麦秋や美瑛の丘の空青し」、と同じような風景と言えよう。一方の句が地名を入れたのに対し、こちらは固有名詞を避けて「北国」とした。結果として「美瑛」は句会で高点を獲得し、「北国」は点数の面から言えば、低い評価となった。地名のあるなしの差なのだろうか。
 俳句における地名は、季語の次に重要な語なのだという。ただし、地名を入れればいい句が出来るわけではない。安易に地名に頼らない、と決めている人もいる。作者は道内の麦秋を一まとめにして、「北国の」と詠んだのかもしれない。そんな風に考え、「私の麦秋」を思い浮かべることにしよう。(恂)

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