古刹から洋食匂う梅雨晴間          杉山 智宥

古刹から洋食匂う梅雨晴間          杉山 智宥

『この一句』

 意外な状況を提示して、読む人に「しかし、あり得る」「けっこうリアルだ」などと思わせるのも俳句作りの一手法といえよう。この句はその一例で、由緒ある寺から洋食の匂いが流れてきた、というのだ。大寺院では無理だが、家族で守っている程度の寺なら、こういうこともあり得るだろう。
 寺とは言いながら、和食ばかり食べているわけではない。住職一家には子供や若い人もいるだろうから、洋食も作るし、その匂いが庫裏から外の道路まで流れてくることもあるはずだ。句会での「カレーだろう」「デミグラスソースかも」といった感想には、この句への共感が込められていた。
 前回に続いて取り合わせの句である。このタイプの句には、映像芸術のモンタージュやコラージュの手法との類似を言う向きもある。要するに1+1=2以上の効果を求めることで、この句なら古刹からの洋食の匂いと梅雨晴間の関係だ。両者を足して「2以上」の効果が生まれているかどうか。その判断はもちろん、読む側、選ぶ側に委ねられている。(恂)

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