金貸した男と出会ふ余寒かな         植村 博明

金貸した男と出会ふ余寒かな         植村 博明

『合評会から』(日経俳句会)

万歩 いかにも変な句ですね。舞台のドラマを思い浮かべました。ト書きにこの句が書いてあり、役者が左右から出てきて、ドラマが始まる、というような。
冷峰 金を借りたのではなく、貸した相手に出会って、余寒? 変じゃないかな。
十三妹 私、同じような体験があって、こっちが逃げ出したくなった。ですから、この句に実感があります。
正市 この二人は何かあって、貸した方も、もう顔を見たくないという間柄なのでしょう。
水牛 金の貸し借りにからむ人情を面白く詠んでいる。この余寒、春だと言うのになぁ、という感じでしょう。
博明(作者) 本当の話です。今でも会う機会はありますが、後味の悪いものです。こっちから言うことではないし、向こうからも言いません。もういいんですがね。
          *           *
 お金を人に貸すと、こんな奇妙な心理になるようだ。なるほど、余寒と合っているかも知れない。(恂)

この記事へのコメント