心地良き冬日の淡く布団干し   大平 睦子

心地良き冬日の淡く布団干し   大平 睦子

『この一句』

 句会では「冬日と布団の季重なり」とか、「少しごちゃついている」といった注文がついた。たしかに季重ねであり、「心地良き」とか「淡く」とか冬日射しを愛でながら、「布団干し」という印象強い言葉を据えて、「冬日の句か、布団干しを詠んだ句か判らない」と言われるのもやむを得ないところがある。
 しかしそうは言いながらも、この句は句会でかなりの人気を集めた。見たまま感じたままを詠んだところが共感を呼んだのだ。時雨や陰鬱な冬空の日々が続いた後にぱっと訪れたぽかぽか陽気。「今日こそ布団が干せる、冬物との総入れ替えができる」とはしゃぐ作者が見える。小春日の心地良さを素直に詠んでいるところが、天衣無縫の味を醸し出した。そんなところが人気の所以であろう。
 俳人森澄雄は「僕は自然を詠んでいるのであって・・向こう側には季語が二つあっても不思議じゃない世界があるんです。たとえば、土筆が出てそこを遍路が通っている─というようなときには、向こうが季重ねなんだから・・」と言っている。冬日に布団を干したと詠んで何ら差し支えないのである。(水)

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