地面から飛び出す色やクロッカス   澤井 二堂

地面から飛び出す色やクロッカス   澤井 二堂

『季のことば』

 クロッカスは早春の庭や公園の花壇を彩る貴重な花である。小さな球根をガラス鉢やぐい呑みに載せて窓辺に置いておくと、二月半ばには咲き始める。「日が射してもうクロッカス咲く時分 高野素十」というように、春待つ気分を小さな六弁の花びらにみなぎらせている。
 掲出の句もクロッカスという花を実にうまく言い当てている。何も無い地面に松葉のような緑の針葉が生えて来ると、そのうちにその真ん中から蕾が現れ、黄色、紫、白、紫と白の縞の花を咲かせる。いずれも鮮やかな彩りで、あたり一面何も無いか、あっても枯葉の名残りといった無味乾燥の中に、明かりを灯したような感じをもたらす。それはまさに「地面から飛び出す色」である。
 叙述の問題だが、この句は「地面から色の飛び出すクロッカス」と言った方が、早春のクロッカスの印象をより鮮やかにするのではないか、という意見が句会で出された。確かにその方が句としてしっかりするかも知れない。そう言い換えても、作者の「色が飛び出した」という発見の価値は不動である。(水)

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