通勤の足せかせかと冬めきぬ   高橋 淳

通勤の足せかせかと冬めきぬ   高橋 淳

『季のことば』

 「冬めく」という季語は立冬からしばらくたって、木の葉が舞い、吹く風も冷たさを増し、「いかにも冬になったなあ」という感じを抱く頃合いを言う。妙に温かい日が続いて今年の冬は変だなと思っていたら、きのうあたりから急に冷え込んできた。出勤時にはそれを特に感じる。これが「冬めく」気分であろう。
 出勤は春だろうと夏だろうと、常に慌ただしいものである。しかし、これが冬ともなればことにせわしないものとなる。年末を控えて、あれこれとやるべきものが押し寄せて来ることも一因に違いない。しかしそれだけではない。なんとなくせかされる感じになるのだ。やはり冬という季節のなせる業なのだろう。
 「通勤の足せかせかと」にもっともふさわしいのは、春夏秋冬いずれか。それぞれ当てはめて口ずさむと、「冬めきぬ」以外にはないなあと思う。(水)

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