八月の記憶この国と妻の国 前島 幻水
『合評会から』(日経俳句会)
三薬 この句はどなたの句かすぐに分かりました。ご主人が日本人、奥様がドイツ人ですね。作者の感慨が気負うことなく表現されていて良い句だと思いました。
百子 はじめ何だろうと思いました。ドイツ人の奥様を持つあの方だなと気づくまで時間がかかりました。真実なお気持ちだと。
満智 奥様が外国、たぶんドイツの方の句でしょうか。それぞれの重い記憶が偲ばれる、心に刺さる句です。
ヲブラダ 戦争と言う言葉がなくても、何について詠んでいるのか分かります。しかし、この国のもっと若い世代はどうなのでしょうか。
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句会の中にいれば誰の句と、おのずから分かってしまうことがある。掲句も作者を知る句友には容易に作者を判別できたわけだ。詠まれた内容が日常茶飯ありきたりのものではない限り句は生彩を放つ。8月という特異な月にドイツ人の妻と作者の思いが交錯したのだ。先の大戦を経験した二人。恐らくは戦争を忌避したに違いない当時の苦い記憶がよみがえる。当時のナチスドイツと軍国日本、敗戦国同士の言いようのない歴史の虚しさが言外に読み取れる。「いつか来た道」の再現を恐れる句として、選句すべき作品だったと後悔している。
(葉 26.08.29.)
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