声明の一山揺らし冬木立     徳永 木葉

声明の一山揺らし冬木立     徳永 木葉

『合評会から』(酔吟会)

千虎 席題に「声」が出て四苦八苦しましたが、「声明」を持ってくるとは素晴らしい。「一山揺らし冬木立」も、厳しい寒さと堂内に響く声明がイメージされる、格好いい句です。
鷹洋 新年明けの坊主読経の大音声。木立の雪がどさっと落ちるほど。オーバーな表現がおもしろい。
迷哲 この句は採り損ないました。読んだ時に冬木立に引っ張られて、一山を普通の山と思ってしまった。寺を意味する一山だったのですね。席題句とは思えない完成度の高さです。
青水 席題の「声」で、この句が出てきたのに驚いた。出来過ぎだなあ。
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 これはいい句だなと感じ入った。「声」という席題に咄嗟に反応してこういう句を作るというのは並大抵ではない。作者は「声」という題に、即座に「声明」という言葉が浮かび、比叡山の大勢の僧侶の声明が冬木立の中に漏れ出している光景をイメージしたという。恐らくその時の印象がよほど強かったに違いない。
 声明は何を言ってるのかさっぱり分からない呪文みたいなものだが、厳寒の中じーんと沁み渡ってくるようで、なんとも言えない厳粛な気分に浸る。まさに「一山揺らし」という大袈裟な表現が不自然ではない感じである。
(水 26.01.21.)

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