ごみが無い大声で啼く初鴉  大澤 水牛

ごみが無い大声で啼く初鴉  大澤 水牛

『合評会から』(酔吟会)

双歩 都心の鴉は二十年前の七分の一に減ったとか。鴉対策に加え、コロナで繁華街の生ごみが減ったことも影響していると。この句は、正月で空っぽのごみ置き場を嘆いている鴉をユーモアたっぷりに詠んでいて、真っ先に採りました。
三薬 確かに正月にはごみが出ない。「腹減った、何とかしろ」と鴉が騒ぐのは無理からぬところ。初鴉という季語に目をつけたのは流石、とこれを天にした。
鷹洋 鴉の慌てようが目に浮かびます。近頃は年末に大規模ごみ収集があり鴉としては心外。怒りの大声を捉えた作者の着眼に唸りました。 
水牛(作者) 三日の朝、バルコニーで深呼吸していたら、近くの電信柱に止まっていた顔馴染みの鴉、カア太郎がものすごい大声でわめいた。「腹減った、何とかしろ」と言ってるように。それでこの句が生まれ、この句の眼目の「声」を席題にしたら、それが見事に嵌って最高点を獲得しちゃった。鴉のおかげです。
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 季語にうるさい人は「初鴉は元日の鴉」と言うかもしれないが、三日でも目くじらを立てる話ではないだろう(句に三日と書かれているわけでもなし)。俳句は季感を大切にするもので、動物でも植物でも初を尊ぶのは分かる。それにしても新年の季語に初の多いのには恐れ入る。「初茜」から「初笑い」まで、一体いくつあるのか。昨年、熊が食糧難で里へ…と大問題になったが、鴉も餌を求めて獰猛に、ということは勘弁してほしい。
(光 26.01.15.)

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