凩が磨いて行くよ星の夜    溝口 戸無広

凩が磨いて行くよ星の夜    溝口 戸無広

『合評会から』(日経俳句会)

可升 磨いて行くよという言葉に惹きつけられました。凩が吹くことで、夜空の星が輝きを増す。それを磨いて行くよと詠んだのには最初は戸惑いましたが、とてもユニークでいい表現だと思えてきました。行くよの「よ」は、ちょっと少年少女向きのような感じもしましたが、口語表現がとても効果的だと考え直して頂きました。
青水 凩の吹きすさぶ寒々とした夜空を、その透明度に焦点を当てて表現している。磨いて行くよという措辞が決め手ですね。冬の快晴の星空がくっきりと見えてきました。
双歩 俳句らしい俳句です。磨いて行くよという擬人法はともすれば独りよがりになりがちですが、この句はなるほどという感じがして、なかなか良い措辞を見つけたなと思いました。
鷹洋 巧みな句です。星のきらめきを凩が磨くと表現する。星の夜で広がりを持たせた。見習いたい。
静舟 澄み切った風の強い冬の夜空、冷え冷えとして星もキラキラと瞬く。
阿猿 凩が磨くという擬人法が効いています。硬く冷たく美しい夜の光。
          *       *       *
 冬の星空は研ぎ澄まされた感じ。これは凩が磨いていくからだと。そういうふうに詠む感覚、センスが素晴らしい。2025年暮の日経俳句会合同句会で最高点を得た。
(26.01.11. 水)

この記事へのコメント

  • 迷哲

    「凩が磨いて行く」という表現も素敵ですが、下五を「星の夜」とした点も工夫されていると思います。「夜の星」では陳腐な歌謡曲みたいですが、夜が磨かれて星の輝きが増していると考えると詩情が増します。
    2026年01月11日 08:58