一人見る冬至の夜の天球儀 横井 定利
『この一句』
天球儀とは球面上に恒星や星座の位置、天の赤道、黄道などを描いたもの。地球儀が地球の表面を表すのに対し、天球儀は地球から見た星々など天空の姿を示している。天体の出没や高度・方位、星座の配置などを知るのに役立つ。
地球儀のある家庭は多いが、天球儀はめったにないだろう。作者は冬至の夜にその天球儀を一人で眺めているというのだが、なぜかしっくり来た。冬至の長くて寒い夜が、冬空に輝く星座を連想させ、天球儀と重なるのである。
夏至とか冬至と聞くと、天体の運行とか宇宙の構造に意識が向かう。冬至の兼題を見た時も、小学校の理科の時間に、先生が太陽に見立てたライトで地球儀を照らしながら、夏至や冬至の仕組みを説明してくれたことを思い出した。
掲句を読むと、太陽の周りを地球が公転するイメージと、天空を描いた天球儀の世界がシンクロし、天体運航の玄妙さに思いが至る。仮に結句を地球儀にすると、冬至によって地上にもたらされる短日や寒さに関心が向き、微視的な句になる。天球儀だから巨視的な宇宙ロマンが感じられるのではなかろうか。
作者は飄々とした人柄で、軽妙洒脱な句をよくする。内省的に見えながら、宇宙的な広がりを感じさせる掲句に、意外な一面を見た思いである。
(迷 25.12.31.)
この記事へのコメント