はからずもアベノハルカス冬日差す 杉山三薬

はからずもアベノハルカス冬日差す 杉山三薬

『この一句』

 東西の句友が集まって暮の大阪を散策した際の吟行句である。同工異曲の句の「雑踏にハルカス見上ぐ冬日和」(高橋ヲブラダ)と真っ向からぶつかった。結果、三薬句に軍配が上がった。この二句を冷静に詠み比べたとき、もしかするとヲブラダ句のほうが出来が良いという判断もあるような気もする。しかし迷った末にボクは三薬句を選んだ。理由は吟行にある。嘱目吟として「はからずも」を上位に置いた。果たしてこの判断は是か非か。
 この日は住吉大社を参拝して、そのあと通天閣・新世界へと行くことになっていた。そこで住吉さんを出て、路面電車の阪堺電気軌道で恵美須町まで行くつもりで、みんなでチンチン電車に乗車。日曜日とあってかずいぶん混んでいたが、途中で幹事から「終点の天王寺で降りてください」。何のことはない、乗り間違い。で。天王寺駅に降りたとたん、みんなが目にしたのが巨大なアベノハルカスだった。
 晴れ渡った青空高くに聳える建造物に、一同肝をつぶした。でかい。すごい近代建築!スカイツリーに慣れていたアズマエビスどもは驚愕した。これがこの句の種明かしである。電車に乗り間違えての、はからずも!でした。
 ちなみに三薬さんは東京側、ヲブラダさんは大阪側の、それぞれの幹事さん。巧まずして、ご両人が同じ光景を嘱目吟にしていたのである。
(青 25.12.05.)

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