補聴器を外し蚯蚓の鳴く闇へ   金田 青水 

補聴器を外し蚯蚓の鳴く闇へ   金田 青水 

『合評会から』(番町喜楽会)

迷哲 補聴器は結構雑音がするらしいので、「このジージーは補聴器の雑音か、はたまた蚯蚓の鳴き声か」を確かめるために補聴器を外して闇の中へ行ったと…。とても愉快な句です。
水牛 家内が二年くらい前から補聴器を使ってましたが、つけていると頭が痛くなるようで放り出してしまいました。「外し蚯蚓の鳴く闇へ」がいい。なんだかわけのわからん句だけど、とても感心しました。
可升 「わけがわからん」のは「蚯蚓鳴く」という季語だと思います。人の声やテレビの音には補聴器が必要だが、蚯蚓の鳴き声なら補聴器なしで大丈夫という不条理感が季語に合っています。「闇へ」がいいですね。
幻水 補聴器を着けている者として、自然の音を聴きたい気持ちが良く分かります。
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 俳諧には滑稽、おどけを大切にする気風がある。蚯蚓鳴くという季語には、鳴くのは蚯蚓でなくて螻蛄だとか悶着をつける向きもあるが、そういう半分虚の季題に対し、補聴器の感度を上げるのではなく、わざわざ補聴器を外して聞きに行くというユーモア。こういう機知、遊び心に富んだ句が増えてほしい。
(光 25.09.17.)

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