ああ炎暑老躯ひれ伏すばかりなり 山口斗詩子
『この一句』
夏の風物詩、高校野球は沖縄尚学初優勝で幕を閉じた。今年は接戦が多く、熱い戦が繰り広げられた。ところで昨今、問題となっているのが〝暑い戦〟への配慮だ。夏の真っ盛りに炎天下で投げたり打ったり走ったりする選手への暑さ対策。今年初めて開会式を夕方に変更したほか、5回終了時のクーリングタイムや延長戦でのタイブレークの導入、1回戦を中心に昼間の試合をやめて朝夕の2部制にするなど、主催者は球児への負担を少しでも軽くしようと智恵を絞っていた。
甲子園に限らず今年も全国各地で夏の気温が上昇。猛暑日の連続記録など、ありがたくない記録更新が目立つ。テレビをつければ、「命に関わる危険な暑さが予想されています。熱中症対策を徹底するようにしてください」とアナウンサーが毎日のように連呼する。異常である。
掲句は、耐えがたい炎暑になすすべもなく、ただひたすらにひれ伏しているという自画像だ。「分かる分かる。うんうんその通り」と、誰しも頷く素直な吐露だ。当ブログで「青」氏が取り上げた、「冷や汁の一杯だけは受け付けて(斗詩子)」を合わせて読むと、作者の心境が理解できる。「そういわずに頑張って」と、思わず声を掛けたくなるが、自らを「老躯」と客観視して五七五に託す姿勢からは、若干のゆとりも感じられる。ともあれ、お互い何とかこの強烈な残暑を乗り切りたいものだ。
(双 25.08.25.)
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酒呑堂