四人目で女児誕生や桃の花    斉山 満智

四人目で女児誕生や桃の花    斉山 満智

『この一句』

 句意は明快で、読めば誰でも「おめでとうございます」と祝福したくなる、心温まる句である。生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんを、3人の男の子とお父さんが覗き込んでいる、そんな場面が浮かんでくる。添えられた桃の花の季語が、めでたさを膨らませている。ピンク色の花の華やぎと、桃の節句のイメージが、女児誕生を寿いでいるようだ。
 日本は戦後のベビーブームから25年ほど多産社会が続き、人口増加が高度成長を支えてきた。第2次ベビーブームの頃までは、教室は子供で溢れかえり、3人兄弟、4人兄弟はざらだった。ところが1983年以降は出生数は減り続け、2022年の厚労省の統計では、子供のいる世帯は全体の18.3%にとどまる。子供の数も1人が半数を占め、2人が38%、3人以上は12.7%にすぎない。子供4人と聞くと、珍しがられる時代である。
 そんな少子化の波に抗って4人目にチャレンジしたのは、勇気ある決断といえる。現代は「少なく生んで大事に育てる」時代とか言われ、子育ての費用や教育費は増える一方である。4人の子供を大学まで出すとなると大変だろうなとか、余計な心配をしてしまう。
 水牛歳時記によれば、桃の花は古代中国では、純真で健康的な乙女の象徴とみなされてきたという。4人目に授かった女の赤ちゃんが、すくすくと育ってほしいと願うばかりである。
(迷 25.03.28.)

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