蝋梅の小枝の中の星座かな 溝口 戸無広
『合評会から』(日経俳句会)
愉里 蝋梅の咲き始めの様子が星座に見えたことを詠んだ句と解釈して頂きました。小枝の隙間から星座が見えたということでしたら勘違いになってしまうのですけれど。
光迷 蝋梅を見詰めていて、その小枝に星座のような形が見えたのでしょうか。ここにオリオン、あそこは寒昴とか。ロマンがあっていいですね。
阿猿 蝋梅の花は葉が出る前の枝にちょこんと乗っかるようにして俯き加減に咲く。見上げてみるのが一番いい。星座の見立てが秀逸。
健史 奥ゆかしく咲く花。星の例えが絶妙です。
豆乳 蝋梅の小枝と小枝がつくる空間に星が瞬く。美しい景色を詠んだ良い句です。
双歩 多くの人が蝋梅を星座に見立てたと解釈して採っています。私はてっきり小枝の隙間から星座が見えるのか、ウーンで終わっちゃった。
* * *
蝋梅の花自体が星座なのだと解釈してこの句を採った句友と、枝の隙間から夜の星座を見たのだろうと思った句友に分かれた句だ。欠席した作者の説明はないのだが、ここは前者の解釈が妥当と思う。この時季黄色い花を咲かす蝋梅。三分咲き、五分咲きの小さな花々が、あたかも小宇宙をなしていると作者は見た。連なる花は星座だという思いに納得する。作者の観察眼と比喩が光っていると、一票を入れた句だ。
(葉 25.03.07.)
この記事へのコメント
迷哲
例えば「小枝に宿る」とでもしておけば、誤解は少なかったのではないでしょうか。