初春の移住あいさつ二人半 岡田 鷹洋
『合評会から』(日経俳句会)
三薬 うまいとこ見てるなと思った。一人は身ごもっていて、そうすると二人半。二人半がとにかく上手い表現。
青水 ボクの住んでいるところも古い住人が出て行って、代わりに分割した敷地に若い夫婦が引っ越してきます。お腹の大きい奥さんも目立ちます。時事句として秀逸。
迷哲 移住してくる人がちっちゃな子どもを連れていたとも読める。どっちにしても人が増える予想と新春の漢字がうまく合って、めでたい感じなので、頂きました。
方円 若夫婦がチビを連れて、あいさつに来たのでしょう。新生活への緊張と夢を持って、そのはつらつさが伝わります。
芳之 なるほど、こういう言い方があるのかと勉強になりました。
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いまどきそういう表記があるのかどうか分からないが、昔は「中人」という表記をする銭湯や芝居小屋があった。また、飯屋の品書に小丼で出すのを「半人前」と書いてあったりした。といったことからすると、この句は若夫婦が幼い子を連れての隣近所への挨拶回りということになる。それに対して、この句は「ご亭主がお腹の大きくなった愛妻を帯同しての引越し挨拶だ」と解釈した人もいる。
どちらともとれる。ただ、幼児を連れての挨拶回りだとごくフツーの情景となる。やはり、この「半」はまだ若奥さんの腹中にあると見た方が、微笑ましく、希望の膨らむ初春風景にふさわしいように思う。
(水 25.02.09.)
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