会えぬ人会えぬまま過ぐ年惜しむ 斉山満智
『合評会から』(番町喜楽会)
春陽子 年賀状で何人もの人に「今年こそ会おう」と書いたのに一人しか実現していません。しみじみとその通りだなあと思った句です。
青水 コロナがはさまったので、六年ぶりに開催された集まりが今年ありました。会えないもどかしさと季語の「年惜しむ」が合わさって、とても感慨深い句になっています。
愉里 年の初めに会おうと言っていたのに会えない残念さが、季語の「年惜しむ」ととてもうまく響き合っている気がします。
而云 似たような句は僕も作ったことがあります。「会えぬまま過ぐ年賀状」だったかな。
てる夫 いやあ、だから賀状の枚数が膨らみます。
斗詩子 一年が本当にあっという間に過ぎ、会おうね会おうねと言いつつ会えぬまま。コロナ以降なかなか実現しない再会。もどかしい気持が伝わります。
* * *
誰もが経験し、歳末になると思うことを上手く詠んだ句だ。このように万人共通の思いをすっと詠むと、「そうだよなあ」とつぶやきながら採ってしまう。年末句会にはうってつけの句だ。ただ、「過ぐ」に少し違和感がある。「過ぐ」が「年惜しむ」の季語の力を弱めている気がしたのだ。「会えぬ人会えぬままなり年惜しむ」などとした方がいいのじゃないかなと思ったのだが・・。
(水 24.12.20.)
この記事へのコメント