塩つかみ白菜漬ける母若し    岩田 千虎

塩つかみ白菜漬ける母若し    岩田 千虎

『合評会から』(日経俳句会)

愉里 子どもの頃の記憶で一回か二回、白菜を漬けた思い出があります。あの頃の母は若かったんだなあと。
実千代 この句はお母さんが若くて、塩をつかんでいる動作が、やっぱり白菜と結びついている。
健史 「つかみ」という言葉の威勢の良さ。何歳でも若いです。
二堂 母若しがいいですね。好きな事を元気よくやっている姿は若く見えるのでしょうね。
守 私の世代はまだこういう風景があったなと思い浮かべられるオーソドックスな句に感じました。
豆乳 せっせと白菜を漬けていた若かった母を思い出す一句です。
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 合評会でも指摘されたが、「塩つかみ」の上五によって生き生きとした感じが伝わってくる。白菜漬はどういうわけか女を元気にさせるようだ。多分この句の母は実年齢も若かったのだろうが、子供の頃の作者には、母親が妙に元気にてきぱきと白菜を漬けるのが殊の外印象深かったのだろう。私にも全く同じ経験があって、「似たようなことがあるものなのだなあ」と感じ入った。
(水 24.12.14.)

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