捨てかねてめくる古本冬ぬくし  和泉田 守

捨てかねてめくる古本冬ぬくし  和泉田 守

『合評会から』(日経俳句会)

実千代 本を整理しなきゃと思い、雑誌も一緒に捨てるつもりでしたが、捲ると捨てられなくなり…。まして冬の日差しが当たったりすると、なんとも心地よくて・・、捨てずともという気持が表れているのがいいなと思って採りました。
てる夫 断捨離も口で言うほど簡単ではありません。
反平 本当に溜まってしまって困っている。いま読んでいるのは、もう三回目だ。
操 中七の「めくる古本」に下五の季語が呼応し、一段と温もりが感じられます。
静舟 本は人生の伴奏者。断捨離で手に取ってみると、胸に冬の陽だまりができ、改めてこの本は捨てられないと。
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 本に限らず捨てかねる物は多々あるだろう。レコードや写真など…。だがそれらを捨てきれずに迷うのは、昭和世代までかもしれない。書籍や音楽、映像などは電子化が急進展したからだ。電子書籍は味気ないという人も多いが、メリットもある。その筆頭は教科書ではないか。ランドセルに国語、算数に…と詰め込んで重い想いをするより、タブレットひとつで済ませる方がいい。味気ない話と思われようが、時代は所有価値より使用価値となっている。
(光 24.12.10.)

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