古本をメルカリに出し梅雨に入る 高橋ヲブラダ

古本をメルカリに出し梅雨に入る 高橋ヲブラダ

『合評会から』(日経俳句会)

愉里 うちの娘は、会社のフロア整理で本を全部処分するということがあり、娘は捨てられずに家に持ち帰っては、メルカリに出品したりしています。
青水 「梅雨に入る」という季語が生きていると思います。半年間の時間経過とエピソードが上手くはまっていると感じました。
水牛 家人から「一体どうするつもり」と言われています。時々、段ボールに詰めてブックオフに送っています。この句は「梅雨に入る」という季語がぴったりで、ひとまず清々したという気分が良く出ています。
光迷 古本整理は終活への一歩ですかね。それにしてもメルカリとは良い選択ですね。
可升 「出し」と「入る」がちょっとうるさいと感じました。「古本をメルカリに出す梅雨入かな」とか、動詞を一つにして欲しかったですね。
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 世はフリーマーケット全盛。メルカリやらブックオフやらに要らなくなった物を売りに出し、必要な人が購入する。SDGSの精神からいえばまことに結構なことだが、筆者は本は部屋に積んだまま。再読することはほとんどないのだがなぜか愛着があり「死んだら処分してくれ」と家族に言っている。梅雨を前にフリマできれいさっぱりしようという、いかにも当世風の句だ。
(葉 24.06.30.)

この記事へのコメント

  • 酒呑堂

    確かに可升さんの言うように「出し」と「入る」でうるさいというのはその通りだが、逆にそれが面白みになっているとも言えますね。長いこと気になっていた「もう読まなくなった古本の山」、どれにも愛着があって、捨てられずにいるうちに自分の坐る場所も無くなってきちゃった。一念発起、目を瞑って段ボールに詰めて「出し」ちゃった。清々して梅雨に「入る」。こんなことって初めてだなあという気分。
    2024年06月30日 17:39