母の手に似る手の皺や衣替 高井 百子
『合評会から』(日経俳句会)
青水 季語との取り合わせに無理がなく、しっくりいっています。
てる夫 母の人生に自分の来し方を重ね回想にふけった。
愉里 自分の手を眺めて、皺が出て来たなというところ辺りから母親の思い出につながって行く。この句は本当にうまいなあと思いました。
実千代 手の皺って似るんですよね。私も自分の手を見るたびに母を思い出します。衣替の季語とよく合っています。
弥生 季語との相乗効果で細かい心情が読み取れる。
健史 季語まで読み進んだとき、じわっと来ます。
三代 母もこうして衣更をしていたなあ、という思いが伝わる。
卓也 思いがけない瞬間に来し方を重ねる観察眼の細やかさ。
水馬 衣替の時の女性らしい気付きが良い感じだと思います。
豆乳 しみじみとした情感が伝わる、優しい句です。
枕流 自分の手が母と似ていることにふと気付く様子が良いなあと思いました。
芳之 お母様の記憶がふとよみがえる瞬間をうまく表現されています。
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年取るにつれて手の皺や鏡に映る顔が亡き父母に似て来るという詠み方は沢山あり、それこそ手垢のついた詠み方なのだが、衣替と取り合わせて詠んだことによって蘇生させた。句会で圧倒的な票を集めたのもむべなるかな。
(水 24.05.24.)
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