うろ覚え母の手順で木の芽和え 斉山 満智
『合評会から』(番町喜楽会)
水牛 お母さんはどうやって作っていたかなあ、と思い出しながら木の芽和えを作っている。それを素直に詠んだとてもいい句ですね。真っ先に採りました。
春陽子 「うろ覚え」がいい。この言葉を発見したのがお手柄だと思います。うろ覚えでもやってみようというチャレンジ精神も感じます。
幻水 お母さんを真似てやってみるところに、なんとも言えないほんわかした気分がして好感が持てます。
迷哲 木の芽和えは、さほど難しい調理ではなさそうですが、美味しくできたのでしょうか?
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木の芽和えは、春を告げる酒の肴に絶好の一品である。よって、小料理屋の突き出しなどによく登場する。もとより、家庭で作ることも多い。茹でた筍などに、擂り潰した山椒の若芽に砂糖と白味噌を咥えて混ぜたものだ。春の香りがいっぱいの料理である。
店先で筍を見付けたせいかどうかはともかく、作者はそれを作ろうと思い、お母さんを偲ぶこととなった。筍の茹で方や切り方、白味噌を溶く塩梅などを。それと同時に、お母さんのいろいろな姿が浮かんだことだろう。実に味わいの深い佳句である。
(光 24.03.16.)
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