雪かきに出てくる人ぞ喜寿傘寿  杉山 三薬

雪かきに出てくる人ぞ喜寿傘寿  杉山 三薬

『合評会から』(日経俳句会)

雀九 どこもそうなのだろうなと思います。ただ、出てくる人ぞの「ぞ」というのは、ちょっとおかしい気がしました。
方円 「ぞ」は家に閉じ込められている喜寿傘寿の人たちが出てくるという動きの強調なのかな。
双歩 「ぞ」の代わりに何が相応しいか難しい。「や」ではないし、あえて言えば「は」でしょうが、「は」では散文的になってしまう。
而云 雪かきだけでなく、昼間出てくるのは、だいたい喜寿傘寿。
豆乳 先日、雪かきに出てきた人たちの中で六十七歳の私が最年少でした。
三代 高齢社会の一断面。歳をとっても、炬燵でぬくぬく、なんて許されない。
卓也 過疎と高齢化、笑えない現実に一票。
二堂 確かに近所は老人ばかりになりました。
芳之 深夜からせっせとお年寄りが雪かきされていますね。
          *       *       *
 「雪かきに出て来る人といえば」ということを強調する「ぞ」なのだろう。良い句だと思う人がたくさん居て、2月句会の最高点となった。私も雪が降るたび自宅前の大きな石段の雪かきをしているが、「そんなことは市役所がやってくれるのでは」と言い放つ人もいるし、若い連中は素通りして行く。「ご苦労様です」とか言うのは十人に一人くらい。今の日本は本当に礼儀知らずの人間ばかりになったなと思う。
(水 24.03.02.)

この記事へのコメント