寒の池鴨とは群れぬ鷺白し 堤 てる夫
『合評会から』(番町喜楽会)
百子 我が家の近くで見る光景です。俳句の本に、鴨と鷺は近寄らないという句があって、そういう句を詠みたいと思っていたのですが、なるほどこう詠めばいいのかと思いました。
水牛 目の前の光景をよく見詰めているものだなと感心しました。「寒の池」の季語に鴨と鷺の二つの役者を取合せたとてもいい句です。
満智 絵になる孤高でしょうか。寒さが沁みます。
てる夫(作者) 私の住んでいる塩田平は江戸の頃からたくさんため池がある土地ですが、鴨などの野鳥が来る池は必ずしも多くはありません。時間をかけて野鳥の生態を見るのはとても面白いです。
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信州上田は塩田平という土地に住む作者ならではの句である。周りの自然環境が句材を豊富に提供してくれるのだろう。しかし、よく観察しているとの評のとおり漫然と歩いていてはこうした句は生まれない。実際の景色を見られる強みと言ってもいい。なるほど鴨と鷺は同じ池にいても交わることがない。鴨は群れをなし、鷺は一羽かせいぜい二羽で孤高の鳥と見える。寒中のなか、寒さを押しての散歩が「寒の池」に憩う野鳥の生態を活写した。
(葉 24.02.14.)
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