揺れる地や息白き人立ち尽くす  中村 迷哲

揺れる地や息白き人立ち尽くす  中村 迷哲

『合評会から』(日経俳句会)

雀九 能登の地震のことだろうと思ったんですが、息白しなんて最近見たこともない。ただテレビの映像で見ていると、あそこは確かに息が白いだろうなあ、と。
弥生 この息白しは辛くて心に沁みました。
豆乳 叔母が金沢の隣の津幡町で被災して、金沢の長男のマンションにいます。寒さがこたえるそうです。
卓也 脱帽。同趣旨で作った当方の句は遠く及ばず。
三薬 あの時、テレビをずっと見てたんだけど。当日の現場の映像はほとんどない。揺れて立ち尽くす人、なんて映像では全然見ていない。だからこれは後で作った、という感じがしますね。
双歩 揺れる地や、で切れてるでしょ。ですからこの描写は元日とは限らない。大きな余震もしょっちゅう起きているし、ずっと揺れている。
迷哲(作者) 能登では大きな余震が続いています。輪島の焼け跡で、茫然としている人の映像の印象が強烈でしたので。それを詠みました。
          *       *       *
 元日の能登大地震。呆然と、絶句しちゃっているところをうまく詠んだ。ただ「立ち尽くす人息白し」とやった方が口調が良くなるなと思いながら、しかし、このぼつぼつと切れた感じが良いな、やはりこれかなと思い直した。
(水 24.01.27.)

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